以前、枡についてというブログを書いたことがあるのですが、枡の種類や特徴について詳しく書いていなかったので、今回は外構工事で使われる枡の種類や特徴、設置のポイントについて詳しく解説します。
外構工事というと、駐車場や庭、フェンスなどの見た目の工事に目が行きがちですが、排水設備の「枡(ます)」も非常に重要な役割を果たしています。
枡は、雨水や汚水の流れをスムーズにし、排水トラブルを未然に防ぐ設備です。
しかし、枡の種類や役割を知らないまま放置してしまうと、詰まりや逆流、悪臭などのトラブルの原因になることも。

外構工事では、建物の周辺に排水設備を整備することが重要です。その中でも「枡(ます)」は、排水管の機能維持やメンテナンスに欠かせない設備であり、汚水・雨水の排水をスムーズに行う役割を果たします。適切な枡の設置が行われていないと、排水の詰まりや逆流、悪臭の発生などのトラブルの原因になります。
ここでは、外構工事で使用される主な枡の種類・特徴・役割・施工方法について詳しく解説します。
外構工事での枡(ます)とは?
枡(ます)とは、排水管の接続点や分岐点に設置される箱型の設備で、排水の流れを調整したり、異物を溜めたりする役割を持ちます。枡の中で排水の速度を落とし、汚泥やゴミを沈殿・捕集することで、排水管の詰まりや汚染を防ぎます。
枡の主な種類と役割
雨水枡(うすいます)
◎ 特徴と役割
雨水枡は、屋根や庭、敷地内に降った雨水を集め、側溝や公共排水路へ排出するための枡です。
雨樋(あまどい)からの雨水や、敷地内の排水管を通じて流入した雨水は、雨水枡で一時的に集められ、土砂やゴミを沈殿・捕集した後に排水されます。
◎ 主な役割
• 土砂・落ち葉の捕集:雨水に混じった土砂や落ち葉を沈殿させ、排水管の詰まりを防ぐ。
• 排水速度の調整:急激な流入による排水管の負荷を軽減する。
• 雨水の浸透・排出:必要に応じて、浸透枡(雨水を地中に浸透させる)として利用されることもある。
◎ 使用される場所
• 建物周辺の雨樋の排水口
• 駐車場・庭などの地面に降った雨水の排水ポイント
• 側溝や道路排水の接続点
汚水枡(おすいます)
◎ 特徴と役割
汚水枡は、トイレ・キッチン・浴室・洗面所などからの生活排水を一時的に溜め、下水道や浄化槽に排出するための枡です。
汚水枡には、油脂・汚泥・固形物が混ざった汚水が流入するため、定期的な清掃が必要です。
◎ 主な役割
- • 油脂・固形物の沈殿:汚水に含まれる油脂や固形物を沈殿させ、排水管の詰まりを防ぐ。
- • 排水の分岐・合流:排水経路を適切に分岐・合流させる。
- • 点検・清掃の容易化:定期的な点検・清掃を行い、排水機能を維持する。
◎ 使用される場所
- • トイレ・キッチン・浴室・洗面所などの排水経路の合流点
- • 浄化槽や公共下水道への接続点
- • 排水経路の屈折点・分岐点

トラップ枡(防臭枡)
◎ 特徴と役割
トラップ枡(防臭枡)は、排水管内の悪臭や害虫の侵入を防ぐために設置される枡です。枡の内部に水が溜まる構造になっており、水封(すいふう)によって下水道からの臭気や害虫の逆流を防ぎます。
◎ 主な役割
- • 悪臭の防止:水封によって下水の臭気が逆流しないようにする。
- • 害虫の侵入防止:ゴキブリやハエなどの害虫の侵入をブロックする。
◎ 使用される場所
- • キッチン・浴室・トイレなどの排水経路
- • 屋外の排水管の接続部分
- • 公共下水道・浄化槽への接続点
合流枡(ごうりゅうます)
◎ 特徴と役割
合流枡は、複数の排水管を一つの排水経路に合流させるための枡です。汚水や雨水など、異なる排水経路からの排水を1か所にまとめ、下水道や浄化槽に流す役割があります。
◎ 主な役割
- • 排水経路の統合:異なる排水経路を一括管理し、排水効率を向上させる。
- • 排水量の調整:複数の排水経路を統合することで、排水負荷を調整する。
◎ 使用される場所
- • 雨水排水と汚水排水の合流点
- • 敷地内の排水経路の合流地点
- • 下水道や浄化槽への接続前
浸透枡(しんとうます)
◎ 特徴と役割
浸透枡は、雨水や排水を地中に浸透させるための枡です。
周囲の地盤に雨水を徐々に浸透させることで、公共の排水設備への負担を軽減します。
◎ 主な役割
- • 雨水の浸透・排水:雨水を地中に浸透させ、洪水・浸水リスクを低減。
- • 土壌の保湿:地下水の涵養(かんよう)を促進し、土壌の乾燥を防ぐ。
◎ 使用される場所
- • 駐車場・庭・歩道などの雨水排水ポイント
- • 雨水排水路の最終排水地点
- • 側溝や公共排水への接続が困難な場所
一宮の外構工事で使われる枡の素材と特徴
塩化ビニル製枡(プラスチック製)
◎ 特徴
• 軽量で施工が容易
• 耐腐食性・耐薬品性に優れる
• メンテナンスが容易
◎ 使用用途
• 一般住宅の雨水枡・汚水枡・トラップ枡

コンクリート製枡
◎ 特徴
• 耐久性・耐荷重性が高い
• 車両の通行が多い場所でも使用可能
• 重量があるため施工には重機が必要
◎ 使用用途
• 駐車場・道路・大型施設の排水枡
• 浄化槽・下水道への接続点

ステンレス・鋳鉄製枡
◎ 特徴
• 高耐久性・耐腐食性
• 排水設備の保護効果が高い
• 高価で設置コストが高い
◎ 使用用途
• 特殊施設・工場・大規模施設の排水管理

枡の施工方法と注意点
設置場所と深さ
• 雨水枡:雨樋の排水口付近、駐車場・庭の排水ポイント。深さは30~50cm程度。
• 汚水枡:トイレ・キッチン・浴室・洗面所の排水経路に設置。深さは40~70cm程度。
勾配の確保
排水管の勾配は、1/50~1/100程度が理想。勾配が不十分だと排水不良や詰まりの原因になる。
清掃・メンテナンス
• 雨水枡・汚水枡の定期清掃:年1~2回程度、土砂・異物を除去する。
• トラップ枡の点検:水封が切れていないか定期的に確認し、悪臭防止を維持する。
まとめ
外構工事における枡の役割は、排水の円滑化・異物除去・悪臭防止・水害対策など多岐にわたります。
- • 雨水枡・汚水枡・トラップ枡など、用途に応じた枡を適切に設置することで、排水トラブルを防止。
- • 枡の種類や設置場所、施工方法を正しく選定し、定期的な清掃・点検を行うことで、長期的な排水機能の維持が可能です。
外構工事の際には、これらのポイントをしっかり押さえて、快適な住環境を維持しましょう。